何故か出回っているインド料理店の話|ナンとカレーがネパール料理って何?【豊田市のインド店】

インド料理について

こんにちは。
豊田市のインド・ネパール料理店、SOKKYOナン屋です。

数年前からYouTubeなどで見かける話があります。

「日本のインド料理店は実はネパール料理店」
「ナンとカレーはインド料理ではない」
「お客さんが少ないのに潰れないのは裏の仕組みがあるから」

こういう話です。

たしかに、日本のインド料理店はネパール人経営・ネパール人スタッフが働いていることが大半です。
当店もインド料理店ですが、日本人である自分が経営しているとはいえ、ネパール人スタッフが料理を作っています。

その立場から説明しますと…

インド料理店の解説…デタラメだらけじゃない?

と思います。

今回はそんなインド料理店についてのよくある話題を少し整理してみます。

誤解1:ナンと食べるカレーは「ネパールカレー」なのか?

まず一番大きな誤解がこれです。

日本でよく見る、ナンと一緒に食べるドロッとしたカレー。
チキンカレー、バターチキン、キーマカレー、マトンカレーなどですね。

キーマカレー

これを

「実はネパールカレー」

と説明している動画や記事があります。

でもそれは大嘘です。

日本のインド料理店で出されているナンとグレイビー系のカレーは、基本的には北インド料理(地域)のものです。

インド料理にも様々な種類がありますので、インドで現地の方が日常的に食べているものというとそれもちょっと違いますが、ホテルのレストランなど「ちょっと良いところ」で食べることのできるインドカレーの一角です。

ネパールとインドは陸続きな上に入出国にビザが要らない関係なので、インドで料理修行したネパール人は多く、修行先のインドで覚えたレシピを使って作るのがナンと合わせるタイプのカレーです。

だから、ネパール人が作っているからと言って「これはインド料理ではなくネパール料理だ」

という話にはなりません。

それではまるで「餃子の王将」や「サイゼリヤ」は日本生まれだから日本料理だ!と言っているようなものです。

誤解2:ネパール料理はスパイスをあまり使わない?

「インド料理はスパイスをたくさん使う」
「ネパール料理はスパイスをあまり使わない」

という話があります。

それを聞くと、スパイスがあまり入っていないのか?と思ってしまいますが、実際にはそんなことはありません。

インドカレーは使用するスパイスの種類が豊富で、ネパールのがシンプルな傾向にありますが、分量的にはそんなに変わりません。

また、スパイスの量と、食べた時にスパイスを強く感じるかどうかは別の問題です。

たくさん入っていても、スパイスを感じにくい場合があります。
逆に、使っている量はそこまで多くなくても、香りの立て方によっては強く感じることもあります。

SOKKYOナン屋でも、日本に媚びない現地味のカレーというコンセプトの「デイリーカレー」というネパールカレーがありますが、実際に食べてみればスパイシーな印象が強いと思います。

砂肝とレバーのタルカリ(ネパールカレー)

通常のナンと合わせるインドカレーもある程度はスパイシーですが、両方食べ比べれば「デイリーカレーの方がスパイスが多い」と感じる方が大半だと思います。

しかし現実は、ナンと合わせるインドカレーの方がスパイスの種類が多く入っています。

スパイスが多く使われているのと、どう感じるかは別問題ということです。

誤解3:ナンはインドで食べない?

これもよくある話です。

「インドではナンなんて食べない」
「日本のインド料理店のナンは偽物」

という説明を見かけることがあります。

これもフェイクな話です。

まず、ナンのルーツはインドより西側の中東の地域です。
それがインドに入り、発展したもののようですが…

インドは非常に広い国です。
地域によって主食も食文化も大きく違います。

南インドでは米をよく食べますし、ドーサという米と豆で作る粉ものが人気です。
北インドでも、チャパティを食べる方が日常に近いです。

そういった毎日の主食の中にナンは無い、それは確かに頷けます。

ところが、今時はレストランやストリートフードであっても、ナンはちょっと探せば普通にあります。
タンドールという窯を使って焼くため、家庭では作れず外食専用という存在です。

つまり

「インドでは普段ナンを食べているわけではない」という感じです。

そして、インドでもナンは美味しいものとして認識されています。

「インドで日常的に食べられてはいない」「昔はナンを食べない地域が多かった」といった内容を面白おかしくするために「インドではナンを食べない」という話に飛躍してしまったと思われますが、実際にはそんなことはありません。

ただしチーズナンやチョコレートナンなどは、日本ルーツと思われますので、それはインドではほぼ食べられていないと思います。

誤解4:インド料理店はお客さんが少なくても潰れない?

夜にインド料理店の前を通ると、お客さんが少なく見えることがあります。

それで「なぜ潰れないんだろう?」

と思う方もいるかもしれません。

ただ、これも外から見える印象だけでは分かりません。

インド料理店はランチ需要が強い業態です。
特に豊田市のように車移動が多い地域では、昼のランチセットで来店が集中することがあります。

夜は静かでも、昼にしっかりお客さんが入っている店もあります。

もちろん、すべての店が安定しているわけではありません。
実際には、店名は同じでもオーナーが変わっていたり、経営者が入れ替わっていたりすることもあります。

外から見ると「ずっと同じ店」に見えても、中の仕組みは変わっている場合があります。

なので、

「インド料理店は不思議な仕組みで潰れない」

というより、

「お客さんが入っている時間帯を目撃していない」
「実は営業形態や経営者が変わっていることもある」

という方が、現場感覚としては近いです。

誤解5:ビザビジネスで儲けている?

「タンドール(ナンを焼く窯)を導入すると料理人のビザが取れる」
「ネパール人を呼んで手数料を取っている」
「だからお客さんが少なくても店が続く」

こうした話を見かけることがあります。

正直に言うと、こういう話がまったく存在しないとは言い切れません。
業界の中には、良くないことをしている人もいるかもしれません。

ただし、少なくとも普通の飲食店として営業している立場から見ると、

お客さんが来なければ普通に困ります。

売上がなければ家賃も人件費も材料費も払えません。
これはインド料理店でも、ラーメン店でも、カフェでも同じです。

「ビザビジネスがあるから潰れない」という話は、そういう収入があったとしても、所詮は一時的なボーナスに思えてしまいます。

むしろ本当の問題は別にあります。

そちらは近々公表しますので、気になる方はフォローしておいて下さい。

誤解が広まる理由

では、なぜこうした誤解は広まりやすいのでしょうか。

理由は簡単です。

「実は裏側にはこんな秘密がありました」

という話は面白いからです。

普通に

「インド料理店はランチで売上を作っています」
「ナンとカレーは北インド料理です」
「ネパール人がインド料理を作っている店もあります」

と言われるより

「本当は全部ネパール料理だった」
「実は別の収入源がある」
「日本人は騙されていた」

と言われた方が、動画としては面白いです。

例えそれがフェイクだったとしても…。

SOKKYOナン屋としての考え

これらの話が出回った頃に話の出所(ソース)を見たことがあるんですが、東京の南インド料理店の人のブログでした。※今は既にその記事も店ごと無くなっていると思われます

もう10年ほど昔になると思いますが、日本人の好みを追ったネパール人経営のインド料理店が急増した時期がありました。

その背景で本場そのものの料理を追い求める店は煽りを食ったと思われ、そのためのネガティブキャンペーンとしてこのような発信をしていたように見受けられました。

面白い状況ではなかったとはいえ
…嘘を広めるのはダメだと思いますよ。

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