インド料理店の人気メニューといえば、チーズナン。
当店でも非常に人気があり、毎日たくさんのご注文をいただきます。
焼きたての小麦粉の生地に、たっぷりのチーズ。この組み合わせだけを見れば、チーズナンはピザに近い食べ物にも思えます。
しかし当店では、チーズナンは構造的にピザを超えることが難しいと考えています。
もちろん、チーズナンが美味しくないという話ではありません。実際に当店でも品質の良いチーズを使い、美味しく召し上がっていただくための工夫を重ねています。
それでも、チーズの美味しさを引き出すという点では、ピザの焼き方に大きな強みがあるのです。
ピザはチーズの美味しさを引き出せる
ピザは生地の表面にチーズをのせ、ピザ窯の高温に直接さらして焼き上げます。
表面にあるチーズへ強い熱が加わることで、チーズが溶けるだけでなく、香ばしさや風味がしっかりと引き出されます。
そのため、チーズの量がそれほど多くなくても、口に入れた瞬間からチーズの存在感をはっきりと感じられます。
つまりピザは、チーズの「量」だけに頼らず、焼き方によってチーズの美味しさを高められる食べ物です。
チーズナンは生地の中にチーズを包んで焼く

一方、ナンはタンドール窯の内壁へ垂直に貼りつけて焼きます。
そのため、ピザのように生地の表面へチーズをのせることができず、チーズナンは生地の中にチーズを包み込んで焼き上げます。
この焼き方では、チーズに直接強い熱を当てることができません。
もちろん中のチーズは溶けますが、ピザの表面で焼かれたチーズのような香ばしさや、加熱によって生まれる力強い風味は引き出しにくくなります。
そこで、足りないチーズの存在感を補うために、チーズナンには大量のチーズを入れます。
同じくらいの生地量で比べると、チーズナンに使うチーズは、ピザの倍近い量になります。
チーズを増やせば、もっと美味しくなるのか?
では、チーズをたくさん入れれば、ピザ以上に美味しくなるのでしょうか。
当店では、そう単純ではないと考えています。
直接高温にさらして美味しさを引き出したチーズと生地の中で溶かしたチーズでは、同じ量でも感じられる風味が違います。
チーズナンに大量のチーズを入れても、焼き方によって十分に風味を引き出せていないチーズが、たくさん入っている状態になります。
最初のひと口は、とても濃厚で美味しく感じます。
ところが、食べ進めるにつれて重たさが勝ってきます。
さらにカレーと組み合わせれば、チーズ、ナン、カレーというボリュームのあるものを同時に食べることになるため、最後まで無理なく完食できる方は少なくなります。
食前には美味しそうに思えたバターの風味が、苦しさに拍車をかけます。
食べきれずに持ち帰ることもできますが、時間がたったチーズナンは、焼きたてとは食感も風味も大きく変わってしまいます。
焼きたての瞬間に最大の美味しさを発揮するものだからこそ、できれば店内で最後まで美味しく召し上がっていただきたい。ところが、美味しさを出すためにチーズを増やすほど、最後まで食べきることが難しくなる。
ここが、チーズナンの抱えている大きな課題です。
当店でもチーズナンを美味しくする工夫をしています
当店では、この問題を少しでも解消するため、原価が高くても風味の良いチーズを選んでいます。
さらに、チーズナンを主役に置いて専用カレーと合わせ、最後まで美味しく食べられるようにした「ナン屋チーズナンセット」もご用意しています。

こちらはチーズナンセットにしては異例の完食率の高さで、リピーターの方も数多いセットです。
それでも、チーズを生地の中に包んで焼くという構造そのものは変えられません。
美味しいチーズナンを作ることはできても、ピザと同じ土俵でチーズの風味を競えば、ピザを超えるのは難しい。
それが、当店の考えです。
では、インド料理店にピザへの対抗手段はないのか?
あります。
それが、当店の「こってりチーズバターチキンカレーセット」です。

このセットでは、チーズナンのように生地の中へチーズを大量に包みません。
焼き上げたプレーンナンにバターチキンカレーや具材、チーズを重ね、最後にチーズの表面をバーナーで炙って仕上げます。
チーズへ直接強い熱を当てることで、チーズナンより少ない量でも、香ばしさと風味をしっかり引き出せます。
単に「チーズナンの形を変えたもの」ではありません。
チーズナンが苦手としている焼き方の問題を解消し、インド料理店だからこそ作れるピザへの対抗馬を目指したメニューです。
ピザに対抗できる3つの要素
「こってりチーズバターチキンカレーセット」には、ピザに対抗できると考える3つの要素があります。
濃厚で酸味のあるバターチキンカレー
ピザの美味しさを支えているのは、チーズだけではありません。トマトを使ったピザソースも重要な要素です。
このセットでは、それを超える役割をバターチキンカレーが担います。
濃厚なコクがありながら、ほどよい酸味も感じられるバターチキンカレーは、チーズとの相性が抜群。ソースとして美味しいだけでなく、カレー単体でもしっかり成立する味です。
具として存在感のあるタンドリーチキン
具材には、スパイスの風味をまとったタンドリーチキンを使用しています。
チーズとカレーだけでは全体が単調になりやすいところへ、タンドリーチキンの旨味と食感が加わります。
ひと口ごとに味と食感の変化が生まれ、最後まで飽きずに食べやすくなっています。
外はパリッ、中はふわっとしたプレーンナン
土台となるのは、タンドール窯で焼き上げたプレーンナンです。
表面にはパリッとした部分があり、中はふわっとした食感。チーズを大量に包み込んでいないため、生地そのものの美味しさも感じられます。
チーズの量に頼るのではなく、カレー、タンドリーチキン、ナン生地、そして炙ったチーズ、それぞれの美味しさを組み合わせて完成させています。
チーズナンの欠点を克服した一皿
チーズナンは、チーズを生地の中に包んで焼くため、チーズの風味を引き出しにくい。
その不足を補うためにチーズを増やすと、今度は重たくなり、最後まで食べにくくなる。
「こってりチーズバターチキンカレーセット」は、チーズを表面にのせて直接炙ることで、この問題を解決しています。
チーズの量はチーズナンより少なくても、味と香ばしさはしっかり感じられる。さらに、バターチキンカレーの酸味やタンドリーチキンの旨味が加わることで、濃厚でありながら単調になりません。
もちろん、ピザとどちらが美味しいかは、お好みによって変わると思います。
それでも当店では、このセットならピザに対抗できるだけの要素を備えていると考えています。
できれば店内でお召し上がりください
「こってりチーズバターチキンカレーセット」は、まだ召し上がったことのない方に、ぜひ一度お試しいただきたいメニューです。
なお、テイクアウトの場合は容器などの都合により、店内提供時のようにチーズをバーナーで炙って仕上げることができません。
このメニューの魅力である、炙ったチーズの香ばしさや、焼きたてのナンの食感を最も楽しめるのは店内です。
チーズナンとは異なる方法で、チーズの美味しさを引き出した一皿。
インド料理店が考えた“ピザへの対抗馬”、「こってりチーズバターチキンカレーセット」を、ぜひ焼きたてでお楽しみください。



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