「インド料理店が潰れない理由」よりも深刻な、本当にある闇

インド料理について

以前、こんな動画を出しました。

「インド料理店が潰れない理由」系の動画がツッコミどころ満載!この手の動画が出回っている衝撃的な理由とは…

世間で出回っている「インド料理店が潰れない理由」系の話は、正直かなり雑です。

「タンドール(ナン等を焼く窯)を導入しスタッフを斡旋するタンドールブローカーがいる」
「日本で働きたいネパール人から100万円、200万円の仲介料を取っている」
「だから客が入っていなくても店が潰れない」

こういう話が、まるで“すべての答え”のように語られています。

でも、冷静に考えてください。

仮に最初に誰かからお金を取ったとしても、毎月の家賃、光熱費、材料費、人件費、税金は発生します。お客さんが本当に入っていなければ、店は普通に苦しくなります。

つまり、「仲介料を取っているから潰れない」という説明だけでは、経営が続く理由としては弱すぎるんです。

では、インド料理店に“闇”はないのか。

……あります。

ただし、それはネットで雑に語られているような、都市伝説めいた話とは少し違います。

本当に見るべき闇は「労働」の問題

現在、とある店の給料未払いに苦しむネパール人の方から相談を受けている最中です。

未払い期間は1年以上、金額は3人で600万円以上のようです。

ここで最初に強く言っておきたいのは、すべてのインド料理店が悪いわけではないということです。

真面目に営業している店もたくさんあります。
家族経営で必死に頑張っている店もあります。
日本で暮らすため、母国の家族を支えるため、誠実に働いている人たちもいます。

だからこそ、雑な陰謀論で全体を語るべきではありません。

問題は、そういう真面目な人たちの陰に隠れて、弱い立場の外国人労働者を利用している経営者がいることです。

日本で働く外国人にも、当然、日本の労働法が適用されます。国籍を理由に労働条件で差別することは禁止されており、賃金・労働時間などの条件は明示しなければなりません。また、賃金は直接、全額、毎月1回以上、一定期日に支払う必要があります。退職時の未払い賃金も、請求後7日以内に支払う必要があります。

それでも現実には、

「給料が約束通り払われない」
「辞めたいのに辞めさせてもらえない」
「在留資格を人質のように扱われる」
「日本語が分からず、相談先も分からない」
「同じ国のコミュニティ内の関係性があるため声を上げづらい」

こうした問題が起きることがあります。

なぜ声を上げにくいのか

日本人なら、給料が払われなければ労基署に行く、弁護士に相談する、SNSで告発する、という選択肢を思いつくかもしれません。

しかし、外国人労働者の場合はそう簡単ではありません。

日本語の壁があります。
制度の壁があります。
在留資格の不安があります。
そして、雇用主や紹介者との人間関係のしがらみがあります。

おまけにネパールの場合はカースト制度も絡んできます。

特に料理人として日本に来る場合、在留資格や雇用先との関係は非常に重要です。外国料理の調理師として働く場合、在留資格「技能」などが関係し、日本人が同じ仕事をする場合と同等額以上の報酬を受けることが求められます。

それなのに、実態として賃金未払いや不透明な控除、長時間労働が起きている。
そんな労働問題こそが「インド料理店が潰れない理由」の本質です。

本当に悪質なのは「逃げ道を奪う」こと

給料未払いそのものも重大な問題です。

しかし、もっと悪質なのは、労働者の逃げ道を奪うことです。

たとえば、

「辞めたらビザがなくなるぞ」
「国の家族に迷惑がかかる」
「他の店では雇ってもらえない」
「お前が悪いことにする」

こうした言葉で労働者を縛る。

これは、単なる経営の苦しさでは説明できません。
人の弱みにつけ込む行為です。

もちろん、店側にも事情はあるでしょう。
物価高、人手不足、家賃、原材料費、円安。飲食店経営が厳しいのは事実です。

でも、経営が苦しいことは、給料を払わなくていい理由にはなりません。

日本で働く以上、外国人であっても日本人であっても、労働者として守られる権利があります。厚生労働省も、強制労働や、法律で許される場合を除いて他人の就業に介入して利益を得る中間搾取を禁止する内容を示しています。

噂話ではなく、証拠と制度で語るべき

ネットでよく見る「インド料理店は裏でこうなっているらしい」という話を見かけたら一応目を通すのですが、ほとんどがでたらめです。

一方で、給料未払いや労働搾取に関しては、思いっきり証拠を握っています。

必要なのは、噂話ではありません。

雇用契約書。
給与明細。
振込記録。
勤務時間の記録。
LINEやメッセージのやり取り。
在留資格に関する書類。
実際に働いていた証拠。

こうしたものを積み上げて、労基署、弁護士、支援団体、入管、必要な相談窓口につなげていくことです。

感情的に「闇だ!」と騒ぐだけでは、被害者は救われません。

私が伝えたいこと

「インド料理店が潰れない理由」系の動画は、見ている分には面白いかもしれません。

でも、本当に苦しんでいる人たちの問題は、そんな軽いエンタメではありません。

陽気で接客態度の良い外国人の店員さん。でも実は裏で経営者によって搾取されているのかもしれないのです。

根拠の無い噂話に惑わされずに、この問題の本質に迫って下さる方が増えたら幸いです。

尚、とある店の給料未払い問題について続報がありましたら、またお知らせします。

続報はこちら↓

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